2026年6月9日・6月16日(火)3限 | 森之宮学舎 710小教室 | 石丸翔也
考えるコストと作るコストの逆転
MVP (Minimum Viable Product):ユーザーが価値を感じるかを最短で確かめるためのプロダクト
これまでは、作るコストが高かったので、様々な要素を作る前に決める必要があった
AIコーディングエージェントは、自然言語の指示からコードを書き、実行し、修正できる
Agentic Codingで変わるのは、単に「速く作れる」ことではない
プロトタイピングを高速化・並列化することで、ユーザーが本当に必要なものの検証が今まで以上にできるようになった。考えるコストと作るコストの相対関係が逆転した
作る → 見る → 意味づける のサイクルを短くする
作る前に、短いスコープ文書を残す
## Prototype 何を作るか ## Hypothesis 何を確かめるか ## In scope 今回作ること ## Out of scope 今回あえて作らないこと ## Evidence どんな反応を見れば前進と言えるか
## Prototype 発表原稿を入力すると、改善点を3つ返す画面 ## Hypothesis 原稿への具体的な助言だけでも、学生は次の練習に進める ## In scope 原稿入力、改善点3つ、修正版メモ ## Out of scope 録音解析、ログイン、履歴、点数化 ## Evidence 改善点のうち1つ以上を使って原稿を直したら前進
MVPでも、実ユーザーに触ってもらうなら最低限の注意が必要
「動く」だけでは、プロダクトとして十分ではない
作りたいものを文書化して、AIやチームと共通理解を得る
要件は、きれいな仕様書を作るためではなく、チームとAIが同じ方向に進むために書く
要件は、人間の判断をAIに渡すための文脈でもある
機能要件は、システムの部品名ではなく、ユーザーの行動として書く
「〇〇機能」と書きたくなったら、それによってユーザーが何をできるのか に言い換える
非機能要件は、「できる」だけでは足りない品質を書く
非機能要件は、MVPの Viable を支える
要件は、最後に「どうなったら満たしたと言えるか」まで書く
Codexに依頼するときは、この受け入れ条件が 終了条件 になる
ユーザーは、[場面] において、 [目的] のために、 [行動] ができる。
例:
ユーザーは、発表前日のひとり練習において、 伝わりにくい箇所を把握するために、 録音した発表に対する改善点を確認できる。
[品質観点] として、 [ユーザー/状況] に対して、 [基準] を満たす。
分かりやすさとして、 初めて使う1年生に対して、 改善点を専門用語なしで3つ以内に提示する。
まずは全体要件を決めて、箇条書きなどで詳細へとブレイクダウンすると良い
最終プレゼンに向けて、チームを作って、アプリ/サービスを作る
AIコーディングエージェントを、開発の相棒として使う
コード生成チャットとの違いは、作業環境にアクセスできること
Codexは、プロジェクト内で次のような作業を行える
今日使うのは、OpenAIのデスクトップ版 Codex.app
Codex.appは、ローカルプロジェクトでCodexスレッドを動かすデスクトップアプリ
授業では、まず Local + 既定の権限 で使う
今日は高度な環境構築より、Codexがプロジェクトを開けることを優先する
公式ページからダウンロードして起動する
https://openai.com/ja-JP/codex/
ここまで完了したら、テキストボックスに「Codexの使い方を紹介する1ページ構成のWebサイトを作成して」と入力 & 実行して、Codexが動いていることを確認してください
Codexはファイルを編集し、コマンドも実行できる
だから、最初は次を守る
Codexは作業を始める前に AGENTS.md を読む。ここに、プロジェクトの作業ルールを書く
AGENTS.md
# AGENTS.md - このプロジェクトの設計書・起動方法はREADME.mdにあります - 作業後はREADME.mdを更新してください - 作業中に困ったことがあれば都度ユーザーに質問してください
繰り返し言いたいことは、プロンプトではなくファイルに残す
公式ベストプラクティスでは、良い依頼に4つの要素を入れる
要件定義と同じ。曖昧な依頼からは、曖昧な実装が返る。
Goal: [プロトタイプ実験] として、[確かめたい仮説] を検証できる最小のWebアプリを作ってください。 Context: README.md を読んでください。 Constraints: 今回は [Out of scope] は実装しないでください。 Done when: ローカルで起動でき、[ユーザー操作] で [見たい反応] が確認できること。
演習1で指示した「Codexの使い方を紹介する1ページ構成のWebサイトを作成して」を改善して、プロンプト1行で済ませるのではなく、README.md・AGENTS.mdなどを活用することで、より初心者にとって分かりやすいWebサイトにしてみましょう
前回のAI駆動開発で直面したエラーやバグを題材に、デバッグの進め方 (エラーメッセージの読み方、AIへの質問の仕方、原因の切り分け方) を実践的に学ぶ。続いて、チーム開発で起きる編集の競合を防ぐためにGit/GitHubの基本操作をハンズオンで習得する。どちらも必要性を実感したうえで学び、以降の開発を効率的に進められるようにする。
a日程:6/23 (火) b日程:6/30 (火)