大阪公立大学 2026年度前期 初年次ゼミナール

AIプロダクトデザイン

第6回 デバッグ・バージョン管理

2026年6月23日・6月30日(火)3限 | 森之宮学舎 710小教室 | 石丸翔也

AIプロダクトデザイン|第6回 デバッグ・バージョン管理

今日のアジェンダ

  1. エラーをAIと一緒に読んで直す
  2. 状況を具体的に伝えて、AIに的確に頼む
  3. 変更を記録して、いつでも戻れるようにする
  4. GitHub Desktop と Codex で開発の土台を作る
AIプロダクトデザイン|第6回 デバッグ・バージョン管理

前回の続きから

前回は、Codex.app に頼んで、自然言語の指示からプロダクトの形を作り始めた

今後、成果物のサイズがおおきくなると、エラー思ったとおりに動かない 状態に直面するかも

エラーは開発の前提

  • エラーは、開発で必ず出る
  • 英語のメッセージはAIが訳せる
  • 原因の特定もAIと進められる

今日できるようになること

  • エラーを AIと一緒に 読む
  • 状況を 具体的に 伝える
  • おかしくなっても 元に戻す
AIプロダクトデザイン|第6回 デバッグ・バージョン管理

1. デバッグ

エラーはAIと一緒に読み、原因を特定して直す

AIプロダクトデザイン|第6回 デバッグ・バージョン管理

エラーは失敗ではない

プロのエンジニアでも、コードは一度では完成しない。エラーは開発の 通常運転

  • エラーは「どこがおかしいか」をコンピュータが示す メッセージ
  • エラー文には、原因を特定する 手がかり が含まれている
  • AIが書いたコードでも、一度で完璧に動くとは限らない
  • 重要なのは、メッセージを 読んで対応する こと

デバッグ (debug) とは、バグ (bug、不具合) を取り除く作業のこと

AIプロダクトデザイン|第6回 デバッグ・バージョン管理

エラーが出たら、まずやること

当てずっぽうで直す前に、まず情報を集める

  1. エラー文をコピーする:表示された文をまるごと選ぶ
  2. どの操作で出たか確認する:直前に何をしたかを思い出す
  3. Codexに渡す:エラー文と操作内容を貼り付ける
  4. 説明を読む:原因と直し方を理解する
AIプロダクトデザイン|第6回 デバッグ・バージョン管理

エラーは、AIと一緒に読む

長い英語のエラーも、まるごとCodexに渡せば「日本語の説明」に変わる

Uncaught TypeError: Cannot read properties of null (reading 'value')
    at submitForm (app.js:42)

自分でやること

  • エラー文を まるごとコピー
  • Codexに貼って「説明して」
  • 返ってきた説明を 理解する

Codexがやってくれること

  • 何が起きたかを 日本語に翻訳
  • どこ (ファイル・行) が原因か指摘
  • 直し方の 候補 を提案
AIプロダクトデザイン|第6回 デバッグ・バージョン管理

渡し方で、AIの答えが変わる

AIは その場の画面を見ていない。あなたが伝えた情報がすべて

伝わりにくい頼み方

  • 「動きません」
  • 「なんか変です」
  • 「直して」

伝わる頼み方

  • 何をしようとして
  • どの操作で
  • どうなったか

エラーを直すコツは、状況を 具体的に伝える こと。エラー文やスクリーンショットも渡すと良い

AIプロダクトデザイン|第6回 デバッグ・バージョン管理

AIにエラーを相談するときの言い方

そのまま使える、依頼のテンプレート

このエラーが出ました。
〔エラー文やスクリーンショットを貼る〕

〔ボタンを押したとき〕に起きます。
本当は〔こう動いてほしい〕です。

原因を特定して、修正してください。

Codex.app なら、ファイルを開いた状態で頼むと、画面を見ながら一緒に直してくれる

AIプロダクトデザイン|第6回 デバッグ・バージョン管理

直っても、「なぜ」を聞いておく

AIの修正を、そのまま受け取るだけで終わらない

  • 直ったら「なぜ直ったのか を説明して」と聞く
  • 同じエラーに次に出会ったとき、自分で気づけるようになる
  • コピペで動いても、何が起きたかを分かってから 次へ進む
AIプロダクトデザイン|第6回 デバッグ・バージョン管理

それでも直らないときは

同じエラーが何度も直らないときの選択肢

  • 一度戻す:動いていた状態に戻して、やり直す (このあとのGit)
  • 範囲を狭める:どこまでは正常かを、Codexと一緒に確認する
  • 人に聞く:チームメンバーや教員に、画面を見せて相談する
  • 別のAIに聞く:同じ状況を、別のAIにも説明してみる

戻せる状態を用意しておくと、修正を試しやすい。講義の後半はそのためのGit

AIプロダクトデザイン|第6回 デバッグ・バージョン管理

演習1:AIと一緒にエラーを直す

前回のプロダクト (なければ簡単なWebページ) で試す

  1. わざと一箇所こわす (例: 文字を1つ消す、名前を変える)
  2. 動かして、出たエラー文を まるごとコピー する
  3. テンプレートを使って、Codex に状況を伝えて直してもらう
  4. なぜ直ったか」を、AIに説明してもらう
  5. その理由を、自分の言葉 で言えるようにする
AIプロダクトデザイン|第6回 デバッグ・バージョン管理

2. バージョン管理

変更を記録して、いつでも戻れるようにする

AIプロダクトデザイン|第6回 デバッグ・バージョン管理

なぜ「記録」が必要か

ファイルを上書き保存で進めていくと、こうなりがち

ありがちな保存

  • app.js
  • app_new.js
  • app_最終.js
  • app_最終_ほんとに最終.js

どれが正しいか分からない

よく起きる問題

  • 動いていた状態に戻せない
  • いつ何を変えたか分からない
  • チームで上書きし合う
  • 消したコードを復元できない

これを解決するのが バージョン管理 (Git)

AIプロダクトデザイン|第6回 デバッグ・バージョン管理

Git とは

Git:(平たく言えば) 変更の節目を セーブポイント として残せるしくみ

  • 「ここまで動いた」という時点を、いつでも保存できる
  • おかしくなったら、保存した時点に 戻せる
  • いつ・何を変えたかが、あとから たどれる
  • チームの変更を まとめて 共有できる
AIプロダクトデザイン|第6回 デバッグ・バージョン管理

セットアップの流れ

gitコマンドは打たない。GitHub Desktop(土台・履歴の確認・復元)と Codex(操作を言葉で依頼)を使い分ける

  1. GitHubアカウント を作る (https://github.com)
  2. GitHub Desktop をインストールする (https://desktop.github.com)
  3. GitHub Desktop に サインイン する → Gitと認証がまとめて入る
  4. 前回の プロジェクトフォルダを開く (Add → 既存フォルダを選ぶ)

これで、Codexがgitを動かせる状態になる

AIプロダクトデザイン|第6回 デバッグ・バージョン管理

記録する:コミット

区切りのいいところで、その時点を保存する

  • Codexに「ここまでをgit commitして」と頼む
  • どんな変更かを 一言メッセージ にする (例:「入力フォームを追加」)
  • GitHub Desktop を見ると、変わった場所が色 で分かる
AIプロダクトデザイン|第6回 デバッグ・バージョン管理

共有する:プッシュ

記録を、クラウド (GitHub) に上げてチームと共有する

  • Codexに「git pushして」と頼む
    • Codexの権限設定によってはエラーが出るかも
  • PCが壊れても、コードは クラウドに残る。チームと同じプロジェクトを共有できる
AIプロダクトデザイン|第6回 デバッグ・バージョン管理

取り込む:プル

チームメンバーの作業を、自分の手元に取り込む

  • 作業を始める前に、Codexに「git pullして」と頼む
  • 最新の状態にしてから、自分の変更を始める
  • これを忘れると、古い状態を変えてしまい 競合の原因 になる
  • GitHub Desktop でも、最新を取り込める (Pull)

始めるときpull、区切りでcommit、終わりにpush がチームのリズム

AIプロダクトデザイン|第6回 デバッグ・バージョン管理

戻る:履歴から復元する

Codexに「git logで履歴を見せて」と頼むと、記録の一覧が出る

a1b2c3d 入力フォームを追加      ← 今ここ
e4f5g6h ボタンの色を修正
i7j8k9l 最初のページを作成      ← ここまで戻したい
  • 動いていた時点のコミットを 見つける
  • このコミットに戻して」とCodexに頼む
  • GitHub Desktop の履歴からも、同じ操作ができる
AIプロダクトデザイン|第6回 デバッグ・バージョン管理

チームで作る:競合への対処

同じファイルを2人が同時に変えると、競合 (ぶつかり) が起きることがある

ぶつかりを減らすコツ

  • 触るファイルを 分担 する
  • こまめに アップ&受け取り
  • 小さく記録して共有する
  • 進み具合を 報告し合う

ぶつかったら

  • 競合した箇所を確認する
  • Codexに「コンフリクトの解消を手伝って」と頼む
  • どちらを残すかは 人が決める
  • 迷ったら相手と相談する
AIプロダクトデザイン|第6回 デバッグ・バージョン管理

演習2:記録して、共有してみる

GitHub Desktop と Codex で、開発の土台を作る

  1. GitHub Desktop をインストールして サインイン する
  2. 前回の プロジェクトを開く
  3. チームメイトの作業を、Codexに「git pullして」取り込む
  4. Codex に「ここまでをgit commitして」と頼む
  5. GitHub Desktop の Publish で、GitHubに公開する
  6. チームメンバーを 招待 して、一緒に編集できるようにする
  7. もう一度変更して、Codexに「git pushして」と頼む
AIプロダクトデザイン|第6回 デバッグ・バージョン管理

今日のまとめ

エラーへの対応

  • エラー文はまるごとAIに渡す
  • 状況を具体的に伝える
  • 「なぜ直ったか」を理解する
  • 戻せる状態を用意しておく

変更の記録

  • Codexに頼んで commit・push・pull
  • 履歴(git log)から戻る先を選ぶ
  • 競合はAIと解いて人が決める
  • 秘密はアップしない
AIプロダクトデザイン|第6回 デバッグ・バージョン管理

次回:第7回 ユーザーテスト・プレゼン

開発中のプロダクトを他チームのメンバーに実際に使ってもらうユーザーテストを実施する。操作中の振る舞いを観察・記録し、得られたフィードバックを分類して改善の優先順位を決める。最終プレゼンテーションに向けて、発表構成 (課題→解決策→デモ→振り返り) の組み立て方とスライドデザインのポイントを解説する。

a日程:7/7 (火) b日程:7/14 (火)

AIプロダクトデザイン|第6回 デバッグ・バージョン管理