大阪公立大学 2026年度前期 初年次ゼミナール

AIプロダクトデザイン

第7回 ユーザーテスト・プレゼン

2026年7月7日・7月14日(火)3限 | 森之宮学舎 710小教室 | 石丸翔也

AIプロダクトデザイン|第7回 ユーザーテスト・プレゼン

今日のアジェンダ

  1. ユーザーテストの目的と進め方を知る
  2. 他チームとプロダクトをテストし合う
  3. フィードバックを分類して、改善の優先順位を決める
  4. プレゼンテーションの構成を知り、準備を始める
AIプロダクトデザイン|第7回 ユーザーテスト・プレゼン

1. ユーザーテスト

初めて使う人の行動から、プロダクトの本当の姿を知る

AIプロダクトデザイン|第7回 ユーザーテスト・プレゼン

なぜ、人に使ってもらうのか

作った本人は、初めて見る人の気持ちに戻れない

  • どこを押せば何が起きるか、作った人は全部知ってしまっている
  • 「分かりにくい場所」は、作った人にはもう見えない
  • ペルソナ・シナリオ・要件は、ここまでは全部 仮説
  • 動くプロダクトができた今、仮説を 実物で確かめられる

ユーザーテスト:ユーザーにプロダクトを実際に操作してもらい、その行動を観察して問題を見つける方法

AIプロダクトデザイン|第7回 ユーザーテスト・プレゼン

少人数でも、問題は見つかる

ユーザーテストは、大がかりな調査でなくていい

  • ユーザビリティ研究の定番の知見:5人テストすれば、問題の大部分 (約85%) が見つかる (ニールセンの調査)
  • 1人目のテストから、作った人が気づかなかった問題が出てくる
  • 人数を増やすより、直してはまた試す 回数を増やす方が効果的
  • 今日は、他チームのメンバー2〜3人に使ってもらう
AIプロダクトデザイン|第7回 ユーザーテスト・プレゼン

テストは「タスク」で進める

「自由に触ってみて」では、観察したい場面にたどり着けない

  • タスク:ユーザーに達成してもらう具体的なお題
  • ユーザーシナリオの「望む変化」を、そのままお題の形にする
  • 1回のテストで2〜3個。達成できたかを判断できる形にする

例 (発表練習アプリの場合):

あなたは明日、3分間の発表をします。このアプリで発表原稿をチェックして、直す場所を1つ決めてください。

AIプロダクトデザイン|第7回 ユーザーテスト・プレゼン

タスク文に、操作手順を書かない

操作を書いてしまうと、「説明されなくても使えるか」を確かめられない

書き方
悪い 「入力」ボタンを押して、原稿を貼り付けて、「チェック」を押してください
良い 発表原稿の中で、直す場所を1つ見つけてください
  • 悪い例は、答え (操作手順) を先に教えている
  • 良い例は、ゴールだけ を伝えている。どう操作するかはユーザーが探す
  • ユーザーが道に迷うこと自体が、貴重なデータ
AIプロダクトデザイン|第7回 ユーザーテスト・プレゼン

考えていることを、声に出してもらう

思考発話法 (Think Aloud):操作しながら、頭に浮かんだことをそのまま話してもらう方法

  • 「たぶんここを押すのかな」「あれ、戻れない」が、すべてデータになる
  • 行動だけでは分からない「なぜそうしたか」が見える
  • ユーザーが黙ってしまったら、進行役が「いま何を探していますか?」と声をかける
  • 話しながらの操作は少し不自然になるが、得られる情報の方が大きい
AIプロダクトデザイン|第7回 ユーザーテスト・プレゼン

テストの役割分担

2チームでペアを組み、それぞれの席で同時にテストを進める

役割 誰が やること
ユーザー役 相手チームから来た1人 タスクに挑戦する。考えを声に出す
進行役 作ったチームの1人 タスクを伝えて進行する。操作は教えない
記録役 作ったチームの残り 詰まった場所・発言・想定外の操作をメモする

ラウンドごとにユーザー役を交代して、全員が「使う側」と「観察する側」の両方を経験する

AIプロダクトデザイン|第7回 ユーザーテスト・プレゼン

進行役の心得

テストを始める前に、ユーザー役へ必ず伝える

  • テストされるのはプロダクトで、あなたではありません
  • 「うまく操作できなかったら、それはプロダクト側の問題です」

テストが始まったら

  • 操作方法を教えない。手も口も出さない
  • 質問されたら「どうなると思いますか?」と質問で返す
  • 詰まっても、すぐ助けない。どこで詰まるかが今日一番の収穫
  • どうしても進めなければ、そのタスクを打ち切って次へ
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記録役の心得

解釈やまとめではなく、起きた事実 をそのまま書く

  • 詰まった場所:どの画面の、どの操作で手が止まったか
  • 想定外の操作:作った側の想定と違うボタン・違う順番
  • 発言:「これ何?」「どこ押すの?」を原文のまま
  • 結果:タスクごとに「達成 / 助けが必要だった / 未達成」

「UIが分かりにくかった」(解釈) ではなく、「原稿を貼る場所を探して3回スクロールした」(事実) と書く

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作った側が、やってはいけないこと

フィードバックの受け取り方が、テストの質を決める

  • 誘導しない:「ここを押せばできますよ」
  • 弁解しない:「それはまだ作ってなくて」「本当はこう使うんです」
  • 反論しない:「いや、そこは分かるはずです」
  • その場で直し始めない:メモに残して、テストを続ける

説明したくなった場所は、説明なしでは伝わらない場所。すべてメモする

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記録を4つに分類する

集めたメモは、種類によって扱い方が違う

分類 扱い方
不具合 エラーが出る、ボタンが反応しない 最優先で直す (第6回のデバッグ)
使いにくさ 進めるが、迷う・気づかない 原因を7原則で言語化する (第3回)
要望 「こんな機能もほしい」 MVPの範囲か判断する (第5回)
好み 「この色は好きじゃない」 参考程度。複数人から出たら検討

タスクを達成できなかった原因になっているものから、順に見ていく

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2. 最終プレゼンテーション

2週間後の本番に向けて、発表を組み立てる

AIプロダクトデザイン|第7回 ユーザーテスト・プレゼン

最終プレゼンの概要

項目 内容
日程 a日程 7/21 (火)・b日程 7/28 (火) 3限
形式 チームごとに発表 + 質疑応答・感想共有
時間 発表8分 + 感想質疑5分を目安に準備
提出 発表前日の23:59までに、スライドPDFをMoodleへ
評価 成績の60% (中間プレゼンが40%)

第1回で説明した通り、バグや完成度そのものでの減点はしない
課題の捉え方・作る過程・そこからの学びを評価する

AIプロダクトデザイン|第7回 ユーザーテスト・プレゼン

発表の基本構成:課題 → 解決策 → デモ → 振り返り

パート 話すこと 分量の目安
課題 誰の、どんな瞬間の、何の困りごとか (ペルソナ・シナリオ) 20%
解決策 その課題をどう解決するプロダクトか。工夫した点 20%
デモ 実際に動かして見せる 30%
振り返り AI活用・チーム分担の工夫、ユーザーテストの結果と改善 30%
AIプロダクトデザイン|第7回 ユーザーテスト・プレゼン

ライブデモの準備

デモは一番伝わるパートで、一番事故が起きるパートでもある

  • 台本を決める:見せる操作の順番を固定して、通し練習する
  • 入力データを用意する:その場で文章を考えない。原稿や画像は事前に準備する
  • 動く状態をcommitしておく:発表直前に新機能を足さない (第6回)
  • 保険を用意する:動かないときに備えて、操作の様子を 画面録画 しておく
  • 当日の環境を想定する:教室のWi-Fiとプロジェクタで動くか、事前に確認する
AIプロダクトデザイン|第7回 ユーザーテスト・プレゼン

今日のまとめ

ユーザーテスト

  • 作った人は、初見の気持ちに戻れない
  • タスクはゴールだけ伝える。操作は教えない
  • 意見より行動。事実をそのまま記録する
  • 記録は4分類して、直すものを選ぶ

最終プレゼン

  • 構成は 課題→解決策→デモ→振り返り
  • テストと改善のストーリーが説得力になる
  • デモは録画や画像の保険を用意
  • 前日23:59までにPDFをMoodleへ
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次回:第8回 最終プレゼンテーション

チームごとに最終プレゼンテーションを行う。発表内容は、課題定義と解決策、動作するプロダクトのライブデモ、開発プロセスの振り返り (技術選定・チーム分担・AI活用の工夫)、ユーザーテストの結果と改善点など。講師と受講生全員による質疑応答や感想共有の時間をとる。

提出物:スライドPDFを発表前日の23:59までにMoodleへ。当日は、動くプロダクトが入ったPCを持参してください

a日程:7/21 (火) b日程:7/28 (火)

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